2021.09.27
Written By小川 櫻時
夏の終わりの昼下がり、郵便物を出しに上七軒郵便局へ。郵送手続きをすませて外に出ると、少しましになったとはいえまだまだ日差は鋭く首元に刺さる。いわゆる上七軒のメイン通りは北野天満宮の東参道にあたり観光地である。しかしコロナの影響で観光客らしき人影はほとんど見当たらない。近頃は外に出かける仕事も少なく体も鈍り気味なので、汗かきついでにフラっと歩くことにした。
東に向かってあてもなく歩いてると仕事の電話がかかってきた。少し込み入った話でなかなか話が終わらない。電話をしながらもいつもは通らない細い道を見つけて歩いていくと意外にも小道から小道に分かれ思いもよらない方向に導かれていく。電話を切る頃には全く来たことのない路地にいた。大体の場所はわかっているのだがだいぶ家から離れてしまった。
突き刺さる日差しが耐え難くなってきたあたりで真教寺というお寺の門の前に出た。小ぶりの門で屋根が低いので瓦の模様が近くハッキリ見えた。これほど近くで瓦屋根を見ることもないなと観察してみる。屋根は構造と経年によるものだろう味わい深く歪んでいて瓦の波模様と相まりグニャグニャに見えてきて面白い。
そうしてしばらく波模様を見てたらなぜか無性に「中華のサカイ」の冷めんが食べたくなってきたので思い切って北上することにした。
こうして行きあたりばったりの西陣歩きはまだ続くのだった。
映像監督小川 櫻時
長年様々な映像をを作る仕事をしています。東京、沖縄を経て2015年から京都市在住。近年は、クラフト作家や様々な手仕事をする人々にフォーカスした映像を制作・発表しています。映像空間演出ユニット「SAKKAKU」としても活動しています。