2021.07.18
Written By曽我高明
「吾輩は路地である、まだ名前はない」・・・なんてフレーズをつぶやきながら、雨の中、西陣の一角を歩いていたら、路地の入り口に、こんな表示板を発見しました。同じ通りには、アニュアル・ギャラリーの運営する、ものづくり工房・クラフテリアが入っている「赤レンガ路地」も。この表示版、下部の小さなアクリルプレートには、西陣織かな?、きれいな布の一部らしきものが。路地ごとに布の色も柄も違って、地域性を活かした素敵なアイデアです。あとで知り合いに聞いたところ、路地の名前は地元小学校の生徒が考えたそうで、アクリルプレートは、通り抜けのできる路地とできない路地を区別して、長さの違う2パターンがあるのだとか。実はぼくも東京の向島時代、アーティストを招いた小学校のワークショップをお手伝いした際、子供たちに好きな路地に名前をつけ、そこにふさわしいモノを作ってもらったことがあります。猫がたくさんいる「ネコ路地」に、猫と一緒にくつろげるベンチを贈ったら、住人の方が喜んで使ってくれました。身近な場所に「名前がある/名前をつけてみる」。遊び心のある小さな工夫が、ぼくらとまちの距離を、ぐっと近づけてくれます。
ANEWAL Gallery現代美術製作所 ディレクター曽我高明
東京の下町・墨田区の向島で、長年展覧会やアートプロジェクトに取り組んできました。縁あって2017年より上京区に拠点を移し、ANEWAL Gallery 現代美術製作所(通称:現代美術製作所)をオープン。ゆるいペースで様々な活動をしています。