2026.01.24
Written By横山恵
1月1日、仕事のために外に出てみると、いつも静かな西陣の街が、さらにしんと静まり返っていた。寒い中でも元気に自転車を走らせている学生の姿も、スーパーの前で井戸端会議をするおば様たちの姿も見当たらず、一人この世界に取り残されたかのような気持ちで歩いた。
お正月になると人混みで進めなくなる観光地の京都とは違う、生活の匂いがするこの静けさが、私はけっこう好きだ。
すぐに答えが出ないものを、ゆっくり眺めるのが好きになったのは、この街に来てからだ。ここ3年くらいでフィルムカメラを撮るようになった。スマートフォンやデジタルカメラで撮るよりもずっと慎重に、しかし案外大胆に撮っていくのが楽しい。ハーフカメラのため、36枚フィルムでも72枚撮ることになる。下手をすると撮り始めてから現像までに半年くらいかかってしまうこともある。
半年前にカメラ越しに見たものは、思っていたよりも普通の景色で、SNSなどで公開するほどのものでもない。しかし、そのときの私は「なんかいいなぁ」と思ったのだろう。
この街に住み始めて7年。古い家がなくなり、お店の顔ぶれが変わるなど、多少の変化はある。それでも、いつも散歩している犬と出会うことや、毎年同じ順番に咲く交差点の桜、競うようにイルミネーションを飾る三軒の住宅などは、私にとってのなんかいい西陣の風景だ。
誰にとっても、この街には「自分だけの風景」があるのだろう。
街に住む人それぞれの風景を、このオサノートを通じて少しでも教えてもらえると嬉しい。
