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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2022.08.03
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所用で佛教大学に出かけた際、近くで一つの灯篭を見つけた。まわりを黒い柵で囲われたそれは、閉じ込められているようにも、こちらを見張っているようにも見えた。脇には、「今宮大神宮」と文字が彫られている。場所からして、今宮神社のもので間違いない。千本通からよく見えるので、見たことのある人もあるだろう。
灯篭が建つのは、千本通から絶妙な角度で分岐する小道の曲がり角。ちょうど三角地を眺めるように建っている。1960年代に道路工事が行われるまで、千本通は青で示したルートを通っていた。今宮神社からは少し離れているが、目印としてこの灯篭が建てられたのだろう。
去年旧楽只小学校跡地にリニューアルオープンした「ツラッティ千本」には、この近辺を描いた地図や模型が展示されている。展示によれば、地元の人はこの常夜燈近くに行くことを「かいどへ行く」と言っていたそうだ。
この三角地のそばには、飲食店がいくつも並んでいる。大豊ラーメンに天下一品、少し前までは「あさひ」というラーメン屋もあった。つまり、ここでラーメンをすする佛大生は皆、知らず知らずのうちに「かいど」に迷い込んでいるということだ。「かいど」のラーメン、皆さんも一杯いかが?

重永瞬

京都大学文学部地理学専修重永瞬

地図とまち歩きが好きな大学生。“西陣の端っこ”(お隣?)仁和学区で生まれ育つ。大学で地理学を学ぶかたわら、まち歩き団体「まいまい京都」でスタッフとガイドを務める。なんでもない街角の記憶を掘り起こしたい。古本とラーメンが好き。