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西陣にまつわる人々が、毎日綴るリレーコラムCOLUMN

2021.07.29
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京都に住むまで北野天満宮には一度も行ったことがなかったが、そこから歩いて二分ほどの場所に住居を借りたことでよく行く身近な神社になった。敷地も広く社の造形も特段に美しいので何かとフラッと訪れている。境内では2月頃から梅が咲き、初夏にはもみじの新緑、晩秋の紅葉と季節をより色濃く感じられる。

 

そういうわけでお気に入りの散歩コースなのだけれども、その境内にちょっと不思議なスペースがある。北野天満宮の公式ページには「絵馬所」とあるその建物には内外上部に奉納された大きな絵馬がぎっしりと飾られている。かなり古く痛み方が激しいものが多く、その歴史が重ねられた迫力には圧倒される。しかしこの場所は休憩所も兼ねられていて、その絵馬群のすぐ下には皎々と光り輝く自動販売機がビッチリと並べられているのである。
古く痛んだ重厚な絵馬の様相とは裏腹に、光り輝くエレクトリカルな自販機の組み合わせは謎のJAPAN感。時空が歪んでくる様な不思議な気持ちになる場所でとても気に入っている。

 

小川 櫻時

映像監督小川 櫻時

長年様々な映像をを作る仕事をしています。東京、沖縄を経て2015年から京都市在住。近年は、クラフト作家や様々な手仕事をする人々にフォーカスした映像を制作・発表しています。映像空間演出ユニット「SAKKAKU」としても活動しています。