5月16日、KéFU stay&loungeで「巨大ボードゲームナイト」を開催した。
ボードゲームナイトの開催は今回で2回目。
前回は、みんなでさまざまなボードゲームを囲みながら過ごす、ごく普通のボドゲナイトだった。
……しかし、今回は少し違う。
テーブルの上には、巨大なトランプ。
中庭には、白と黒の大きなオセロ盤。
普段見慣れたボードゲームが、そのまま巨大化して置かれている。
いつものKéFUの空間なのに、どこかサイズ感だけが狂っていて、不思議な光景だった。
18時頃、以前のKéFU夜カフェにも来てくださった方がふらりと立ち寄ってくださり、
最初は巨大トランプで神経衰弱をした。

普通のトランプなら片手でめくれるのに、巨大サイズになるだけで、
カードをめくる動作ひとつが妙に大げさになる。
そしてなぜか、巨大になると場所が覚えられない。
「あれ、さっきのこれどこだったっけ?」
「絶対そこじゃなかった!」
トランプをめくろうとテーブルの周りをぐるぐる歩いているうちに、
さっきまで覚えていたはずの位置を忘れてしまう。
気づけばみんな、3歩歩いて忘れるニワトリみたいになっていた。
途中から、別でUNOをしていたフランスから来たゲスト2名も輪の中に加わった。
私はといえば、お目当ての柄を狙ってカードをめくったつもりが、
微妙に違う位置を選んでしまい、その隙にどんどんペアを取られてしまった。
この借りは、別のゲームでしっかり返させてもらうことにした。
その後、中庭で巨大オセロを広げた。

一枚ずつコマを並べていくと、普段は机の上に収まるゲームが、
まるで屋外展示のような存在感を放ち始める。
実際に並べてみると、想像していた以上の迫力があるものだ。
白と黒の巨大なコマが中庭に並ぶ光景はなかなか異様で、
通りすがるゲストさんも「なにをしているんだろう?」というように、不思議そうに眺めていた。
フランスから来られていたゲストは、オセロ自体を知らなかったらしく、今回が人生初のオセロ。
最初は探るようにコマを置いていたのが、数ターン後にはかなり真剣な表情になっていて面白い。
盤面を見つめて悩み、
置いて、
ひっくり返して、
また笑う。
使う言葉が違っても、ゲームをしている時の表情はよくわかる。
数少ない私の得意ゲームでもあるので、
コマを置くたびに「おお!」「なんてこった!」とリアクションしてくださるのが結構嬉しかった。
日本語と英語、リアクションや笑い声が入り混じりながら、
中庭の空気が少しずつ賑やかになっていった。
途中で遊んだ「はぁって言うゲーム」もかなり盛り上がった。

同じ「はぁ」でも、
怒っているのか、
感動しているのか、
呆れているのかで、全然違う。
初対面同士だと少し照れそうなゲームなのに、
みなさんかなり全力で取り組んでくださっていたのが印象的だった。
答えを当てる側も、
「どの“はぁ”だ……?」
と首をかしげる。
時には、もう一度演技を見たいと言わんばかりに、
「おかわり!」という声まで飛び出していた。
楽しい時間はあっという間に過ぎていき、気づけば時刻は21時を回っていた。
お開きになる頃には、みんなすっかり遊び疲れていた。
最初は数人で始まったゲームも、
気づけば途中参加のゲストや観戦していた人たちを巻き込みながら、賑やかな輪になっていた。
巨大なボードゲームを囲みながら、少しずつ人が集まり、混ざり合っていく。
そんな夜だった。

ところで、なぜ今回は普通のボドゲナイトではなく、
“巨大”ボドゲナイトだったのか。
このイベントを企画した理由は、私がオセロ好きだからである。
KéFUのスタッフとも時々勝負をするし、
小さい頃はAI相手にひたすらオセロを打っていた。
落ち込んだ日も、考え事をしている日も、とりあえずオセロのアプリを開く。
勝ったり負けたりしているうちに疲れてきて、そのまま寝る。
すると不思議なことに、翌朝にはだいたい機嫌が治っていた。
今振り返ると、私にとってオセロは、
ただのゲームというより、頭の中を整理するための時間だったのかもしれない。
オセロをしていると、自分がどこに置くかだけではなく、
「相手にどこへ置かせるか」
を考えるようになる。
今この一手でたくさん取れるかどうかより、その次に盤面がどうなるのか。
自分の選択が、相手の選択肢をどう変えるのか。
目の前の一手だけでなく、その先の展開を見る。
そんな考え方は、案外日常にも似ている気がしている。
だから私は、オセロそのものだけでなく、
そんなふうに盤面を眺めたり、考えたりする時間が好きなのかもしれない。
そんな大好きなオセロを、いっそ巨大にしたら面白いのではないか。
そんな単純な思いつきから、今回の巨大オセロは生まれた。
実際にやってみると、思っていた以上に面白かった。
普通のオセロなら、盤面を囲むのは基本的に対戦している二人だ。
ところが盤面が大きくなると、周りにいる人まで自然と覗き込む。
「そこじゃない?」
「いや、こっちの方がよくない?」
いつの間にか、対戦していない人まで盤面を一緒に考えている。
途中から加わる人がいて、
少し眺めていく人がいて、
その隣では、また別のゲームが始まる。
全員が同じゲームをしているわけではない。
それでも、対戦する人と観ている人の境目は、
普通のボードゲームよりずっと曖昧だった。
今回やってみて気づいたのは、
巨大化することで、盤面が対戦する二人だけのものではなくなるということだった。
覗き込んで、口を挟んで、途中から参加してみる。
ゲームそのものが、人の集まるひとつの“場”になっていく。
もしかすると、“巨大”ボドゲナイトの面白さは、
ゲームを大きくすることそのものではなく、
人が入り込める余白まで大きくなることなのかもしれない。
巨大なボードゲームを囲みながら過ごした数時間。
また機会があれば、季節を変えて開催してみたいと思います。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
KéFUでは、不定期で「夜カフェ」を開催しています。
普段より少しだけ遅くまで灯りをつけて、夜の時間をひらく日です。
また次回の夜カフェも、準備が整い次第お知らせします。
どうぞ楽しみにお待ちください。