KéFU stay&loungeの壁には大きな地図がある。この地図を使って「ダーツの旅」(某番組のパロディ企画)をしようと思ったのは、「かつおの西陣よはじめまして」で写真家の仁科勝介さんがKéFUを訪れたときのことである。かつおさんを連れ回したい場所はたくさんあるけれど、もちろん全ての場所を訪れることは不可能だ。ならば、全てを天の運に任せ、KéFUの壁にある地図に向かって幾本かのダーツを放り、刺さった場所を順に訪れるのが最も合理的な街歩きなのではないかと思ったのだ。

 

しかし、現実的な話をすると、KéFUの壁に穴を開けるわけにはいかず、粘着性のある物質を壁に放ってみてもうまく引っ付かず、壁に衝突しては地面に向かって落ちてゆく。出発する前から「ダーツの旅」企画は頓挫しようとしていた。が、「ダーツの旅」において、自らダーツを放る必要はない。某番組の某所ジョージは御自ら日本列島が描かれた地図に向かってダーツを放っているけれど、「ダーツの旅」をする際に、物質としてのダーツを放る必要があるとは誰も言っていない。とりあえず最初の目的地を決め、その場所にいる人に次の目的地を決めてもらって、人伝に場所を渡り歩いていく。様々な人に順にダーツを放ってもらう「ダーツの旅」を決行することにした。これぞお手本のような朝令暮改である。

 

最初の目的地に決めたのは、osanoteでもよくお世話になっている「町屋学びテラス」だ。水曜日だったので、「町屋学びテラス」にはあまたの学生が集まっていることだろうと、かつおさんとosanoteメンバー3名(オオナリ・タマキ・アオイ)、計4名でKéFUを出発して南西へ向かった。京都の町には、特に西陣には暖簾が多いとかつおさんが気づき、なぜだろうかと話しながらも結局答えらしきものは見つからず、途中で気になるお店を見つけて立ち止まってみたり、堀川通りの横を流れている堀川に降りてみたり。

 

堀川にはチョロチョロと水が流れ、川の中には飛び石が置いてある。鳩や名前がわからない鳥なんかもいたりして、静かだ。そこへ4名の人間がズカズカと降りてゆき、飛び石を使った撮影会が始まった。飛び石は3つ。石の上に並んで立ってみたり、タイミングを合わせて飛んでみたりと3人のosanoteメンバーに指示を出すのは、川の中に浮かんだ陸地に立つかつおさん。ちょっとタイミングがずれたり、足の左右が合わずに4往復も5往復もする。そうして撮っていただいた「ザ・ビートルズ」みたいな写真がこちら。

 


写真:仁科勝介

 

そういえば、目を瞑っても歩けるほど(やっぱり無理かもしれない)堀川通を通ってきたけれど、堀川に降りたことは1度もなかった。一条戻り橋の下に潜ると、北の方には小さいサイズのとなりのトトロが昼寝をしていてもおかしくないような景色が見える。「橋の下」というのはなんだか異様な雰囲気を漂っており、好奇心の赴くままに探検をしたくなる。小学生の頃、家の近くにあった大きな橋の下に潜り、橋の両端に作られた大きなコンクリートの坂を登ったり滑ったりして遊んで、お尻を真っ黒に汚したことがある。そんなことを思い出しながら、一条戻り橋の両端にある小さな坂をタマキと登ってみると、不思議なことに、ふたりの身長差がまるでなくなってしまうらしい。目視できる線という線が全てねじれの位置にあるせいか、目の錯覚を生んでいるのだろう。思いがけず出会った「トリックアート館」でもパシャリとするのはかつおさん。いつも周りを観察しているから、かつおさんは橋の下にあるトリックアートを見逃さないのだ。

 

そのように、いい歳をした4人は本来の目的を忘れかけながらわちゃわちゃと遊び、ついに第1の目的地である「町屋学びテラス」にたどり着き、白い暖簾を潜ろうとした時、僕は「ここにも暖簾があるではないか」と気がついた。