第2回
革職人Pitoroさんとの出会い
初めての革名刺入れをosanote編集部で作り終わった後、ANEWAL Galleryさんからの紹介で革職人のPitoroさんを紹介していただけることになりました。
Twitter https://twitter.com/Pitoroleather
Instagram https://www.instagram.com/pitorokatsuo/
Online Shop(BASE) https://pitoro.base.shop
作業机に丁寧に並べられた工具たち。
どこかで見たことあるものから、はじめて見るものまで、どう使うのかワクワクしてきます。
これまでにPitoroさんが手がけた革製品。万年筆用のペンケースなどの小さなものから、バックに至るまでさまざまです。
鉛筆キャップは基本的な工程が詰まっているため、初めて革制作をする人がトライするのにちょうどいいそうです。何よりパッと目を惹かれます。
革制作の一対一での対面講座も行っていて、その際には最初の1時間はヒアリングを行いどんなものを作るのか一緒に決めていくそうです。
クライアントと話す時間をPitoroさんはとても大切にされています。「アイデアを形にしていくために話し合っていくのも楽しいですね!」と語ってくださいました。
「少し、取り扱っている革についてお話しします。」
と、丁寧にファイリングされた素材を見せてくださいました。
「どういったシーンで使うかを元に、素材の組み合わせで考えていきます。」
上品な色味のもの、使うごとに色味に味が出てくるものや、質感のなめらかなものなど多彩です。
糸の色は55色!組み合わせて想像を膨らませます。
それではPitoroさんにサポートしてもらいながら再び名刺作りに挑戦します!
前回、試作した名刺入れと同じ型紙を使って制作していきます。
革専用の包丁である革包丁。
これを使って革をすーっと切り落としていきます。
「革包丁かカッター、使い慣れた道具の方で大丈夫ですよ」ということで、使い慣れているカッターナイフを使うことにしました。
革包丁は刃の角度によって革の裁断面の角度が変わってくるので、慣れが必要です。
この革包丁、きちんと砥石で研ぐと10年以上使えるそうで、Pitoroさんの革包丁は学生時代から使っているそうです。
丸みを帯びた箇所は何回かに分けて切っていきます。
裏面の毛羽立ちを抑えるためにヘラを使って「トコノール」を塗っていきます。この際に表面に付いてしまうと滲みができてしまうので慎重に。手早く。
ガラス板を使って全体にならします。
上の大きい革パーツの染みはトコノールがついてしまったもの。
「これから使うときに、作業で苦労したことを時々思い出すことになりますね」とPitoroさん。
自分で手を加えていく緊張感があります。
目の前でさっと手際良く動くPitoroさんを見て、真似てみようとしますがなかなかうまくいきません。むむ。微妙な力加減、工具の持ち方、作業工程、頭ではわかっているはずなのに…..
<ヘリ落とし>
革の縁を落としなだらかにしていきます。
手に馴染んでくるとスーッと切れます。
<こば磨き>
ウッドスリッカー(右)、コーンスリッカー(左)
革の縁に工具をあてて、磨き上げます。
「こば磨きをすることで革の耐久性を持たせ光沢が出てきます。」
Pitoroさんは工程ごとに、「今この作業をすることで、仕上がりがこういう風に変わってくるんです。」と、丁寧に伝えてくださいます。次第に工具の使い方にも慣れてきました。
穏やかな昼下がりの工房
きめの粗いやすりで削った後に、より細かいやすりで整えていきます。
このように何度も同じ工程を繰り返して素材を磨いていきます。
磨けば磨くほど断面が光ってきます。
上は磨いた後のもの/下は磨く前のもの
全てのパーツの縁を磨いたところで、一旦休憩を挟みます。
「これで全工程の3割くらいですね!」
完成までの道のりは続きます。
次回は、アルコールランプを使ったり、”OSANOTE”の刻印を入れていき完成に向けて加速します!